リウマチの診断・治療・薬

リウマチ治療質問集
東京リウマチクリニック

リウマチ患者に
特有な肺炎はありますか?

お答え

リウマチ薬や抗がん剤投与で免疫力の落ちた患者さんに特有の肺炎に、“カリニ肺炎(カビによる肺炎)”があります。

日本では海外より発生率がやや高く、亡くなられる危険もある特殊な肺炎です。

本院でも予防策を強化しており、現在は以前より激減しています。

■カリニ肺炎(ニューモシスチス肺炎)の予防■■■

東京リウマチクリニックでは、バイオ製剤投与中は原則として全員予防薬(バクトラミン・バクタ)を内服してもらっています。

通常バクトラミン1錠を週1回フォリアミン(葉酸)と一緒に内服してもらっています。

葉酸を併用しないと、MTX同様副作用が出やすいので注意してください。

また、リウマチ治療中の方は、肺炎・感染症の危険が大きいので、肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)を5年に1回受けてもらいます。

また、インフルエンザワクチンも毎年受けてください。

リウマチの薬を服用すると、
肝機能の数値が上がるのはなぜですか?

お答え

ほとんどの薬剤が、肝臓で代謝されるからです。

リウマチの患者さんなどで何種類ものお薬を飲んでいると、肝臓の数字(代表的なものGOT・GPT)があがってくることがよくあります。

ほとんどの薬剤が、肝臓で代謝されるからです。

肝臓は、はっきりいってすべての内臓の中で一番巨大な臓器なので、機能にずいぶん余裕があります。

これらの数字がしばらく50-100や100-200程度にあがったからといって、黄疸などの症状が出るわけでもありませんし、それほどあわてる必要はありません。

ほんとうの急性肝炎というものは、これらの数字が500-1000、さらに数千というレベルになるものです。

ですから、肝機能の数字の軽度上昇は「お薬の調節をしてください。」という、早めの警告だと考えてください。

東京リウマチクリニックで使われるお薬で、 肝機能値上昇のもっとも原因になりやすい、お薬を順番にいいますね。

1 結核の予防薬 イスコチン

2 リウマチ薬 MTX(メトトレキサート・リウマトレックス)

3 肺炎の予防薬 バクトラミン

4 ビブラマイシン (抗リウマチ薬 兼 気管支炎予防薬)というところです。

本院では採血の結果が当日にはわからないので、これらのお薬の調節が必要な場合には、お電話で連絡をさせていただくシステムをとっています。(電話があっても驚かないでくださいね)

生物製剤治療は
一生続けなければいけないのですか?

お答え

「一生ではありません。もちろん、数ヶ月から2-3年以上という単位の長期戦ですが・・・。そのうち必ず病気の波が引きますから安心してください。そうしたら、徐々に薬の量・間隔を減らしていって、うまくいくと完全に止められるかたもかなりいらっしゃいます。」と、いつもの外来で患者さんへお伝えしています。

ただ、その期間は個々の患者さんによって千差万別です。

正確に期間を予測することはできません。

病勢や波が引くまでの病気の期間は、ほとんど遺伝子によって複雑にプログラムされているからです。

ただ、間違いなく言えることは、初期のうちにしっかりした治療(すなわち、十分量のMTX+生物学的製剤)で、病気の勢いを徹底的に叩き潰しておけば、治療の期間も短くなりますし、トータルの薬の投与量(治療費)も少なくて済むということです。

また、変形が進んでしまうこともまずなくなります。

確かに、素因(病気になりやすいDNA)は今のところ変えられません。

厳密な意味での完治ではないかもしれません。

ただし、「MTXや生物学的製剤はリウマチを治す薬ではない。抑えているだけ」というのは、全くの間違いです。

私たちは、患者さんたちにははっきり言い切ります。

“この二つの薬はリウマチを治す薬です。”

MTXは、抗がん剤と聞きましたが、
脱毛など心配しなければなりませんか?

お答え

MTX(メトトレキサート・リウマトレックス)はもともと抗がん剤(白血病や悪性リンパ腫・骨肉腫などにも使用される)でもあります。

したがって、ときどき毛が抜けやすいという副作用の訴えをききます。

とくに、女性などで髪を洗ったときに抜け毛が多くてびっくりしたなどの声があります。

対処としては、本院のように必ず最初から、葉酸を併用すること。

それでも防げないのであれば、今のところそれ以上の対処法はないのが現状です。

抗がん剤治療のように、髪がほとんどなくなってしまうことはありませんし、基本的にはくすりを止めれば元に戻るとされています。

といっても、もともと薄いかたは気になりますよね。

MTXはリウマチにもっともよく効く、安全な飲み薬です。

リウマチで過剰に働いている自己免疫を抑えることや、炎症を抑えることがリウマチに効く主な作用機序と考えられています。

しかし同時に、癌細胞などに効く作用というのは、わかりやすくいいますとDNA(遺伝子)を傷つけることによって、細胞の増殖を抑えるという作用なのです。
(医学用語では核酸合成阻害といいます。)

口内炎、のど、気管支、胃腸、腟などの粘膜や皮膚やつめなどのトラブルを起こしやすいのはこの作用からきています。

また、妊娠時に使用すると流産や奇形率が高くなるのもこのためなのです。

脱毛は個人差があります。

どうしても我慢できない・限度を超しているというかたは、量を減らす、または中止して注射薬(生物学的製剤=エンブレル・ヒュミラなど)に切り替えるという方法があります。

これらの新しい注射薬は脱毛や粘膜障害などの副作用はずっと少ない安全な薬です。

しかし、注射する手間と、治療費が高くなるというのが飲み薬に比べるとデメリットになりますね。

現在、世界的に、関節がひどくはれて変形するような、ほんもののリウマチの治療のベストと考えられているのは、飲み薬のMTXと注射薬(生物学的製剤)を両方同時に使うことなのです。

リウマチの治療の前に、
結核を調べるのはなぜですか?

お答え

結核は一度感染すると、肺の奥底などに結核菌が住み着いてしまい、たいていの場合完全に消すことはできません。

そのうえ、知らない間に結核に感染して、知らない間に治っていることが多い。
(なんと80-90%は感染してもほとんど症状がない)

みなさん、まさか自分が結核に感染しているとは想像もしていないかたが非常に多いのです。

日本人の場合、感染している確率は、おおよそ20-30歳代で5%、40-50歳代で10%、60才以上だと40%-90%以上と考えていただきたい。

リウマチなどで、免疫力を弱めるお薬(とくに生物学的製剤)を投与する場合には、この体の奥底にすみついた結核菌がまた出てくることがまれにあるのでとくに注意が必要なのです。

リウマチの早期治療は
いつまでに受ければ良いですか?

リウマチ治療もほかの病気と同じく早期治療が良いと聞きますが、いつまでに治療を受ければ大丈夫ですか?

早期と聞くと、自分はもう手遅れなのでしょうか?

お答え

確かに痛み・腫れは一日でも早くとったほうが良いのですが、2ヶ月ぐらいは遅れのうちにはいりません。

毎朝手がこわばる、腫れる、いろいろなところが痛む、膝に水がたまるなどの症状が出たらすぐに本院を受診していただければじゅうぶんに速い対応が可能で、手遅れになることはありませんので、それまでは自分で様子見でかまいません。

葉酸を飲むと
MTXの作用を弱めてしまうのですか?

葉酸補給はMTXの副作用だけでなく効果も弱めてしまうという記事を読みました。(http://medical.nikkeibp.co.jp

葉酸を飲むとMTXの効果を弱めてしまうのでやめたほうが良いですか。

お答え

日本では、副作用が出てからはじめて葉酸を投与する先生が多いのですが、私は最初から併用することを絶対におすすめします。

というのは、葉酸というビタミンは健康なひとでも不足しているビタミンなので、リウマチでないひとでもサプリメントでとることが必要なくらいなのです。

たしかに、葉酸を投与を併用することで、MTXの効果は若干減弱します。

ただし、効果をやや弱めるデメリットと副作用を抑えるメリットを天秤にかけて比較すると、副作用を予防するメリットのほうがずっと大きいのです。

本院では、最初から葉酸(フォリアミン)を投与する方法をとっています。

5mg週2回で非常にうまくいっておりこれがベストと考えています。

また、米国など国際的な標準も1mgを毎日、または5mg週2回が標準になっています。

総合ビタミン剤などにはたいがい葉酸がはいっています。

フォリアミン(医師が処方する葉酸の薬剤名)を出してもらっている場合は、さすがに、これらのビタミン剤を加えるととりすぎです。

MTXの作用が、減弱しすぎますから気をつけてください。
(葉酸のとりすぎ自体は副作用はありませんが)

また、翌々日でなくていいのかという質問もよくあります。もちろん翌々日でもいいのです。

しかし、それだと忘れやすいので本院では、MTXを土曜と日曜の朝の2回にわけて飲んでもらい、その前後金曜日と月曜日に飲んでもらっています。

はっきりいって、何曜日に飲もうがたいした問題ではないのでご本人が忘れにくい曜日にかえてもかまわないのです。

葉酸の役割は何でしょうか?

お答え

MTXによる副作用を抑えます。

胃腸障害などリウマチの薬による副作用を抑えます。

葉酸というビタミンは健康なひとでも不足しているビタミンなので、リウマチでないひとでもサプリメントでとることが必要なくらいなのです。

MTXと一緒に服用すると、抗リウマチ作用を減弱させます。

日にちをずらして服用してもらいます。

リウマチ治療中の
ステロイド薬の副作用は大丈夫ですか?

お答え

結論は≪6mg以下のプレドニンは怖くない、使ったほうがリウマチの治りもよい≫です。

ステロイド剤(プレドニン、プレドニゾロンなど)は確かに5年以上続けたり、1日8mg以上を数ヶ月続けると、顔に脂肪がついて丸くなる、骨粗鬆症、動脈硬化などの副作用が出てきます。

しかし、リウマチの患者さんの場合、治療開始後半年-1年の初期には少量(10mg以下)のプレドニンや関節へのステロイド(ケナコルトA)をMTXなどに加えて併用したほうが、関節の骨破壊や変形が少なかったという研究結果がいくつもあります。

もちろん痛みも、断然軽くなります。

日本人は、痛みは薬でとるより我慢したほうがいいという伝統があるのですが、これはまったくの間違いです。

痛みを我慢することほど体に悪いものはありません。

ステロイドは20世紀の、医学上最高の発見のうちのひとつとされており、発見者はノーベル医学・生理学賞を受賞しています。

偉大な薬なのですが、使用する医師のレベルによって、宝物が危険な刃物にもなりうるというのが現実です。

私からみた、悪いステロイド剤の使い方とは
以下のような例です。

  • MTXやエンブレル・レミケード・ヒュミラなど、ほんとうにリウマチを治せる薬を使用せず、だらだらとステロイドを続ける。
  • ナントカ抗体が陽性=膠原病という単純思考で、生命にかかわるような症状(重篤な腎障害、心・肺障害、全身性血管炎など)がないのにかかわらず、入院してパルス療法というとてつもない量のステロイドを点滴で3日間投与。

当然痛みはふっとぶが、大腿骨頭壊死というもとの病気よりもっと怖いステロイドによる合併症を作ってしまう。

または、ステロイドを減らしていくとリバウンドで、前よりもひどい痛みが出てしまい、また増量を繰り返す例も多くみられます。

こういう治療はオーバートリートメントと呼ばれ、SLEという膠原病の一部などにみられる悪い例です。

  • リウマチ・SLEを含めたすべての膠原病は症状の個人差が大きく、個々人に応じて最適な治療をアレンジする必要があるのですが、日本では、リウマチについてはむしろ治療不足が、SLEなどリウマチ以外の珍しい膠原病については治療のしすぎが目立つように思われます。

ステロイド剤の量を決めるときに、欧米人と同じ3000mg(なんと3日間でプレドニン600錠分)を小柄な日本人に一律に投与することにも 問題があると私は考えています。

これに対し、私が初回の受診時によく使用する、ステロイドの筋肉注射・関節 注射などケナコルト20-80mgでせいぜい1-2回ですから、プレドニン換 算で5錠から16錠程度に過ぎません。

投与量の少なさ、簡便さ、副作用の少なさに対して効果は絶大です。

しかし、日本のリウマチ医は、これ(注射)が適切にできない=つまり痛みをとってくれない先生が残念ながらほとんどなのです。

リウマチ以外の膠原病にはあれほど大量のステロイドを平然と点滴してみせる同じ先生が、全身の激痛を訴えるリウマチの患者にはこの程度の簡単な注射をしてくれないのです。

明らかにバランス感覚を欠いていますよね。これは日本の医学教育のひずみが原因です。

関節注射は修練が多少必要なので仕方ないとして、せめて筋肉注射ぐらいとりいれられるようになってもらいたいものです。

また、私たちがリウマチに飲み薬で出すプレドニンはほとんど1錠が1mgで通常の5分の1の錠剤ですから5mg錠とは次元が違います。

もし、あなたが医師からステロイドのパルス療法と呼ばれるものを勧められたら、その治療を行わないとどのような生命や、重篤な障害悪化の危険があるのかなどを十分に説明してもらい、納得できてからしか治療をうけてはいけません。

また、現在では過去の多すぎた投与の反省から、100-500mgなどのミニパルスなど、選択枝は広がっているので、そのへんも知識不足、説明不十 分と感じたら医者を変えることです。

ツベルクリン反応が陽性です。
エンブレルの治療はできませんか?

お答え

ツ反陽性のかたはいくらでもいます。

抗結核剤予防投与併用でエンブレル開始で問題ありません。

がんの既往のあるひとに、生物製剤は使えませんか?

お答え

簡単にいえば、「現在癌の治療中でなければ使えます。」というのが私たちの答えです。

がんは生命に直接かかわる病気ですから、まずはそちらの治療が優先されます。

しかし、リウマチも治さないと、死ぬ病気なのです。すぐに死ななくても長生きできません。

それどころか生きている間も痛みや障害で苦しみながら生きることになります。

ひどい関節リウマチをほんとうに治せる薬は、MTXと生物学的製剤しかいまのところないのですから。

もちろん、がんの主治医とリウマチの主治医と患者さんがよく話し合って決めることが重要です。

2011年の日本リウマチ学会で、東京医科歯科大学の針谷教授らがこの問題についての大規模な調査の結果を中間報告しました。

簡単にいえば、「生物学的製剤を使用することでガンの発生率が高くなることはなかった。」という結果でした。

これは、エンブレル、レミケードなどの生物学的製剤が日本に導入されてから5年間、1万人以上の調査結果で大変な朗報です。

東京リウマチクリニック(旧自由が丘整形外科)でもこの研究に協力しているので、本院に通院中のリウマチ患者さんも数100人含まれています。

この研究(SECUREスタディ)ではこれから、さらに5年間の追跡調査をしてさらに長期の安全性を評価する計画になっています。

リウマチ治療相談Q&A

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