関節リウマチに良い食べ物ってあるの?腸内細菌の秘密!

学術的に基づくコラム

腸内細菌と関節リウマチがどういう関係があるのか、ピンと来ない方も多いのではないでしょうか?

実は近年の研究で、関節リウマチに罹患する患者さんは、健常者と比べ、腸内細菌の酪酸農度が低いことが判明しています。

本研究では、発症初期の未治療の関節リウマチ患者の腸管内の酪酸濃度が健常者と比較して顕著に低い事を明らかにしている。さらに、酪酸産生菌が顕著に減少することを見出した。これは、腸内の酪酸産生が減少することと関節リウマチの発症との関連性を示す成果である。実際マウス関節リウマチモデルを用いた検討から、酪酸産生菌により酪酸が産生される飼料を与えることで、関節炎の症状が著明に改善した。以上のことから、発症初期の関節リウマチ患者へ酪酸が産生される食事を予防的に提供することで、将来的な症状を抑制できると考えている。

『腸内細菌が産生する酪酸による関節リウマチ抑制メカニズムの解明』(慶應義塾大学)

どういうことなのか、詳しくお話ししますと、

まず、酪酸というのは、腸内細菌の酪酸菌(酪酸産生菌)が腸に届いた食物繊維を発酵・分解することで作り出される、短鎖脂肪酸の一種のこと。

酪酸は大腸上皮細胞の最も重要なエネルギー源であり、粘膜上皮細胞が必要とするエネルギーの約60~80%は腸内細菌が作る酪酸でまかなわれていると言われています。

大腸の中で働く細菌の一例

そして注目すべきは、酪酸は抗炎症作用など優れた生理効果を発揮する、という点です。

このポイントから、体内の酪酸菌を増やすことで、予防的に関節リウマチの炎症を抑えることができるのではないか、と期待されています。

酪酸は、酪酸菌を糧にして、体内で増殖されます。

じゃあ酪酸菌をいっぱい取ろう!

残念ながら、酪酸菌自体を持っている食材はそんなに多くありません。

ぬか漬けや臭豆腐といったものが代表的な食材になります。

臭豆腐とは、台湾の定番おつまみの一つ。植物性の発酵液につけた豆腐を揚げたり蒸したりして、提供され、独特の発酵臭があることでも知られています。

ですが、食物繊維を含む食材を摂取することで、体内の酪酸菌を育てることは可能です。

食物繊維を中心とした食生活を送ることで、腸内環境を整えることにもつながります。

食物繊維を豊富に含む食材の一例

また他にも、腸内細菌はたくさんの種類があり、中でも『腸内フローラ』は重要な役割を担っています。

詳しくは、当院のYouTubeでもお話ししていますので、ぜひご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました