関節リウマチの治療を始めると、免疫を抑える薬(メトトレキサートなど)が始まることが多いと思います。
そして、そんな時、

関節リウマチになって治療を始めたけど、具体的に何を気をつければ良いんだろう?
と、思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな時に、心に留めておいてほしいことの一つが、ワクチンの予防接種です。
ワクチンの役割
そもそも、ワクチンとは何かと言いますと、
『自分が病気(感染症)にかからない』
もしくは
『病気(感染症)にかかった場合でも症状が軽く済むようにする』
↑こちらのためのものになります。
例:インフルエンザのワクチンを予防接種することで、インフルエンザにかからないようにする。またはインフルエンザになった時、症状が軽くなる。
インフルエンザ以外の予防接種は?
現在、日本で予防接種を認められているのは、以下になります。(2026年10月時点)
| 定期接種もしくは臨時接種 | |
| 生ワクチン | ■ BCG ■ 麻疹・風疹混合(MR) ■ 麻疹(はしか) ■ 風疹 ■ 水痘 ■ ロタウイルス:1価・5価 ■ 帯状疱疹(生ワクチン) |
| 不活化ワクチン トキソイド | ■ 5種混合(DPT-IPV-Hib):百日咳・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ・Hib ■ 4種混合(DPT-IPV)※既接種者等 ■ ジフテリア・破傷風混合(DT) ■ 日本脳炎 ■ 小児肺炎球菌(PCV20、PCV15) ■ B型肝炎 ■ HPV(9価) ■ インフルエンザ ■ 高齢者肺炎球菌(PCV20) ■ 帯状疱疹(組換えワクチン) ■ RSウイルス(妊婦・母子免疫) |
| mRNAワクチン | ■ 新型コロナウイルス感染症ワクチン |
| 任意接種 | |
| 生ワクチン | ■ 流行性耳下腺炎 (おたふくかぜ) ■ 黄 熱 ■ 帯状疱疹(水痘ワクチンを使用) |
| 不活化ワクチン トキソイド | ■ ニューモバックス ■キャップバックス ■ 破傷風トキソイド ■ 成人用ジフテリアトキソイド ■ A型肝炎 ■ 狂犬病 ■ 髄膜炎菌:4価 ■ 帯状疱疹 ■ 肺炎球菌 (15価結合型) |
(例:海外渡航の際、渡航先によって接種することが望ましい場合など)

種類が多すぎて、どれを受けたら良いのか分からない…。
確かにそうですね。
ワクチンの予防接種は、年齢やその時期の流行している感染症、もしくは医療現場などで求められている場合など、様々な場面で対応されます。
そして、関節リウマチ治療の場合、メトトレキサートなど免疫抑制剤を使っていることが多くあります。
そこでワクチンについて知っていただきたいことが、2点あります。
その1 どのワクチンを受ければ良いのか?
免疫が下がっている時に、一番心配になることは感染症です。肺炎や皮膚の病気などなど。
そのため、受けていただきたいワクチンはこちら。
- 肺炎球菌ワクチン
- インフルエンザワクチン
- 帯状疱疹ワクチン:シングリックス
肺炎球菌ワクチンについて
まず、肺炎の予防接種ワクチンについて。
肺炎球菌というのは、肺炎の原因になるウィルスのことで、ご覧の通り、その予防ワクチンは3つあります。
その違いは、と言いますと。
| プレベナー20 | 20種類の原因ウィルスに対するワクチン。 免疫に記憶されるので生涯一度きり。2026年4月より公的定期接種に指定。 (定期接種対象者:65歳の方と60~64歳で一定の基礎疾患がある方は1回接種可能。) |
| キャップバックス | 21種類の肺炎球菌をカバーする、新しい「結合型ワクチン」です。プレベナー20と同じ結合型ワクチンなので、免疫の記憶がつきやすく、長く続く効果も期待できます。現在の成人で重症感染を起こしやすい肺炎球菌を重点的に選んだ新しいタイプ。 |
| ニューモバックス | 23種類の原因ウィルスに対するワクチン。5年毎に接種が必要。公的定期接種対象外に変更。 |
本院では、50歳以上のリウマチ治療中の方、特に肺に基礎疾患がある方にはキャップバックスを主にご案内しています。
過去にニューモバックス接種されている方やほかのプレベナー接種された(プレベナーの場合5年以上経過後推奨※プレベナー20以外)方でも、キャップバックスの任意接種は可能です。
インフルエンザワクチンの予防接種は受けたほうが良い?
そして次に、インフルエンザ予防接種です。

インフルエンザって、毎年受けているから大丈夫でしょう?

インフルエンザを発症した後、肺炎になることがあるため、こちらも重症化を防ぐ為に接種していただければ安心ですね。
インフルエンザにかかると、その後に肺炎を併発することがあります。特に高齢の方や、リウマチ治療中で免疫を抑えるお薬を使用している方では、重症化するリスクが高くなります。
そのため、インフルエンザワクチンは、感染や重症化の予防という意味でも、毎年接種していただくことをおすすめしています。
最後に、帯状疱疹ワクチンについてですが、帯状疱疹に関しては、こちらをご参照ください。
帯状疱疹のワクチンと一緒に、知ってもらいたいことの2つ目をお話ししようと思います。
その2 『生ワクチン』と『不活化ワクチン』の違い
そもそも、この2つの違いはなにかといいますと、
- 生ワクチン:毒性を弱めたウィルスそのものを接種し、抗体を得るタイプ。
- 不活化ワクチン:毒性を無くして接種し、抗体を得るタイプ。
『生ワクチン』のタイプは、最初にお伝えしたように、風疹など、子どもの時に受ける予防接種が多くあります。
ただし、帯状疱疹のワクチンは、『生ワクチン(ビケン)』と『不活化ワクチン(シングリックス)』の2つのタイプが存在します。
ここが気をつけていただきたいポイントなのですが、
関節リウマチの治療中のように、免疫を抑えた状態の方が『生ワクチン』を接種すると、そのウィルスによる感染症にかかってしまうことがあります。
ですので、免疫抑制剤を内服している方が、どうしても『生ワクチン』の接種が必要な時は、治療を2〜3ヶ月ほど中断することが望ましいとされています。

関節リウマチ治療中で、帯状疱疹のワクチンを希望される方は、『不活化ワクチン(シングリックス)』を選択していただいた方が安心・安全です。
また、妊娠を希望される方は、風疹(生ワクチン)の予防接種をオススメされることが多いかと思います。
その時も同様に治療をお休みする必要がありますので、妊娠希望の方はご注意くださいね!

少し長くなりましたが、いかがでしたか?
もちろん、ワクチンを接種することで、副反応が出ることもあります。
ですので、予防接種は患者さんの希望に一任されます。
ただ、関節リウマチの治療を続けていくにあたって、感染症になりにくい(もしくは重症になりにくい)という安心材料が増えるということも確かです。
ぜひご検討してみてくださいねー!


