
たばこは身体に悪いので、禁煙をしましょう。
と、言われたら、

そんなこと分かっているけど、止められないよ。

聞き飽きるぐらい知っているなぁ。
と、思いませんか?
禁煙が主流になっている現代では、たばこのリスクをたくさんの方々が知っているのではないかと思います。
では、

たばこは、関節リウマチを悪化させます。

と言われたら、ちょっとドキッとしませんか?
百害あって一利なし、今回は関節リウマチと煙草の関係性についてお話しますよー!

まずは、たばこのリスクについて、簡単におさらいしておきましょう。
たばこには、ニコチン・タール・一酸化炭素などの有害物質が含まれており、喫煙は様々な病気の原因となります。タールは発がん性物質を含み、一酸化炭素は身体を酸素欠乏状態にします。
たばこを吸っていると、様々なリスクが生じます。
たばこが引き起こす主なリスク | 詳細 |
がん | 肺がん、咽頭がん、食道がん、肝臓がん、胃がん、膵臓がん、膀胱がんなど、全身のがんに関係している |
心臓病・脳卒中 | 喫煙は血栓ができやすくなり、心臓病や脳卒中のリスクを高める。 |
COPD(慢性閉塞性肺疾患) | 慢性閉塞性肺疾患は、喫煙によって引き起こされる進行性の肺病変で、呼吸困難などの症状が出る。 |
歯周病 | 喫煙は歯周病にかかりやすくなり、進行すると歯を失う原因に。 |
糖尿病 | 喫煙は糖尿病のリスクを高める。 |
早産 | 喫煙している妊婦は、早産や低体重児のリスクが高くなる。 |
そのほか | ニコチンは依存症を引き起こし、血管を収縮させ、血液の流れを悪くする。 |
などなど、関節リウマチでなくても、たばこは身体に悪影響を及ぼしますね。
では今回の本題、たばこがいかに関節リウマチに良くないのか、説明していきますね。
1.関節リウマチ発症率の上昇
関節リウマチは、遺伝的要因に環境要因が加わることで発症する、とされています。
簡単に言いますと、何かのきっかけ(環境要因)が身体の遺伝子(遺伝的要因)に作用し、関節リウマチを発症する、ということになります。

実は、たばこは、代表的な環境要因の一つ、と位置付けられています。
フィンランド社会保険研究所の報告によりますと、関節リウマチが過去の喫煙によって発症リスクは、非喫煙者と比べ、約3倍。
現在の喫煙によって発症リスクは、約4倍になることが分かっています。
また、1日25本以上喫煙している場合は、発症のリスクが約2倍になると言われています。
2.関節リウマチの重症化
2015年、イギリスの研究チームが発表したデータによりますと、
たばこを吸っている患者さんは、たばこを吸っていない患者さんに比べて、関節の状態が悪くなっていることが明らかになっています。

311名の治療を行っている早期関節リウマチ患者さんを対象に、喫煙者・非喫煙者で1年後のレントゲンの追跡調査をしたところ、喫煙している患者さんでは、明らかに関節の骨びらんが進行していたことが発表されています。
3. 治療への悪影響
関節リウマチの世界で最もよく使用されている薬といえば、メトトレキサートもしくはリウマトレックスですよね。

2021年アメリカ国立衛生研究所が発表した内容によりますと、喫煙がメトトレキサートの効果を下げてしまう、とされています。
さらに、吸っている本数でも治療に悪影響がある、とされています。
1日10~19本の喫煙者は、1日1~9本の喫煙者より予後が悪かったと示されています。

喫煙していると、良くないことばかりですね。
しかし、そんな皆さんに朗報です!

たばこを止めることで、関節リウマチの活動性は明らかに下がります。
2008年アメリカ・ニューヨーク大学ランゴーニ医療センターの医師らは、元喫煙者、つまり禁煙に成功した患者さんと、現在も煙草を吸っている患者さんで、関節リウマチの病気の勢いや痛みなどを比較しました。
その結果、禁煙者が喫煙者より明らかに病気の勢いは下がっていたことが判明しました。

この発表の中で特に注目すべきポイントは、禁煙者が喫煙者より明らかに寛解率が高い、という点です。
関節リウマチの治療において、寛解を目指すことは最大の目標でもあります。
禁煙をすることで、その可能性がさらに高まることは大きなメリットになるのではないでしょうか?

どうでしたか?禁煙してみようかな、という気持ちになりましたか?
なにもいきなりすべての煙草を止めましょうというわけではありません。
でも、今その手に持っている1本の煙草。
まずそれを止めてみるのはいかがでしょうか?
