B型肝炎?C型肝炎?なんで関節リウマチ治療の前に検査するの?その疑問、徹底解説します!

シーズンズ東京リウマチクリニック

関節リウマチの治療をする前に、肝炎について調べましょう。

主治医からそんな説明を受けたことはありませんか?

その理由について、なんとなく分かっているような、分かっていないような、そんな方は意外と多いのではないでしょうか?

今更聞けない、肝炎について。今回は徹底的に説明していきますよー!

健康な肝臓のキャラクター

最初に、肝臓について。

肝臓は、人体の中で最も大きい臓器とされています。

消化管から取り込んだ栄養を必要な成分に換えたり(代謝)、毒物を分解したり(解毒)という働きを担っています。

胆嚢のイラスト(肝臓・膵臓・十二指腸つき)

分かりやすいのが、お酒を飲むと身体の中で分解してくれるのが、肝臓の役割の一つです。

薬を飲んだ時に代謝をしてくれることも、肝臓の重要な仕事になります。

肝臓のキャラクターとビールのイラスト

この肝臓の細胞が壊れ、炎症が起こっている状態、それを肝炎、と言います。

肝炎の原因は主に5つあります。

1. ウィルス肝炎A~E型ウィルス感染による肝炎
2. アルコール性肝炎過度の飲酒によって起こる肝炎
3. 非アルコール性脂肪肝炎肥満や糖尿病などの生活習慣によって肝臓に脂肪が蓄積することで起こる肝炎
4. 薬剤性肝炎薬剤や化学物質によって起こる肝炎
5. 自己免疫性肝炎身体の免疫機能が異常に働き、自身の肝細胞を攻撃してしまうことで起こる肝炎

今回はウィルス肝炎に注目して、お話していきますね。

まずは、ウィルス肝炎の種類と原因について。

感染経路慢性化ワクチン治療劇症化
A型肝炎経口感染(不衛生な地域の生水や生ガキ)なしなし対処療法あり
B型肝炎血液感染(母子感染・針刺し・性交渉など)ありあり抗ウィルス薬あり
C型肝炎血液感染(針刺しなど)ありなし抗ウィルス薬まれ
D型肝炎血液感染(B型肝炎を介して感染する)ありなし
(B型肝炎ワクチンを接種することで予防できる)
B型肝炎の治療あり
E型肝炎生もしくは加熱の不十分なジビエ(シカやイノシシなど)なしなし対処療法あり

この表で注目していただきたいポイントは、慢性化と劇症化、という点です。

慢性肝炎とは、肝臓の炎症が6か月以上続いている状態、を指します。

慢性肝炎でも症状はほとんど出ないことが多く、炎症が進行すると肝硬変、さらに肝不全や肝臓がんへと繋がっていくことがあります。

慢性肝炎の原因となるウィルスのほとんどは、B型とC型です。

慢性肝炎、肝硬変、肝がん患者の60%がC型肝炎の感染者であり、年間3万人の方が肝がんにより亡くなっています。

肝硬変:慢性肝炎によって肝臓が硬くなり、肝機能が低下する状態。不可逆的であり、治療しても完治することはほとんどない。

そして劇症肝炎とは、肝炎が急激に悪化し、肝細胞が大量に壊れ、肝機能が急激に悪化してしまうことを指します。

ほとんどのウィルス感染は劇症化するリスクはありますが、A・E型が劇症化することは稀です。

問題となるのが、B型肝炎です。劇症化する危険性が高いうえ、繰り返し劇症化してしまうことがあるからです。(ウィルスの再活性化)

ウイルスのイラスト

というわけで、A~E型肝炎の中でも、B型肝炎とC型肝炎が、特に注意が必要、とされています。

そのため、関節リウマチの治療をする前に、この2つを検査することが多くあります。

ここで検査する項目は、HBs抗原検査HCV抗体検査になります。

*抗原:感染症における細菌やウィルスなどそのものを指す。

*抗体:生体内に侵入した異物(細菌やウィルス)に特異的に結合し、その異物を体内から除去する物質。

なんで抗原と抗体で検査が違うの?

HCV抗体はC型肝炎感染者で広く陽性となるので、スクリーニングに適していると言われています。

一方で、HCV抗原は高感度であるがために、C型肝炎の95%を陽性と判断できますが、5%は偽陰性となってしまいます。そのため、スクリーニングにはHCV抗体を検査します。

HBs抗原検査とHCV抗体検査で陽性が出た場合、ウィルス量を測る検査(HBV-DNA、HCV-RNA)をします。

DNAとRNA:どちらも遺伝子情報を担う核酸の一種。DNAが遺伝情報を長期的に保存する役割を担うことに対し、RNAでは遺伝情報の伝達やタンパク質合成などを担っている。

ちなみに、

B型肝炎の検査で、HBs抗体とHBc抗体も併せてチェックしました。

と説明を受けたことはありませんか?

その意味としては、

・HBs抗体:陽性の場合、過去に感染し、治癒していることを指す。ワクチン接種した場合も陽性になる。

・HBc抗体:陽性であれば、B型肝炎に感染したことを示す。ワクチン接種した場合でも陽性にならない。肝臓内にウィルスが潜んでいる可能性がある。

となります。

また、

・HBs抗原(陽性)HBc抗体(陽性):現在、B型肝炎に感染している状態。

・HBs抗原(陰性)HBc抗体(陽性):過去、B型肝炎に感染していた状態。

という意味にもなります。

いかがでしたか?

関節リウマチの治療で、ご自身のことを知っておくことがとても大切になります。

一度検査項目を主治医と相談してみても良いかもしれませんね。

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