抗CCP抗体 リウマチ発症予防・血液検査 抗CCP抗体の数値とリウマチとの関係  東京都世田谷区 自由が丘整形外科 リウマチ専門

抗CCP抗体とは何か
抗CCP抗体陽性と言われたら・・・いつ治療を開始すべきか?

自由が丘整形外科 院長 天本藤緒

抗CCP抗体とは何ですか?

リウマチを診断・治療していくうえで、いま最も重要なのが抗CCP抗体という血液検査の項目です。

私たちは、リウマチまたはリウマチを疑う患者ほぼ全員で約3年間、この抗CCP抗体を調べてきました。

その数は10000人以上になります。その多くの経験から、わかってきたことがあります。

私たちの経験、最近の研究からわかっていること

⇒抗CCP抗体の値は、リウマチの重症度と高い確率で比例する。

  1. 陽性の場合、数年以内(数か月~5年程度)に本格的な関節リウマチを発症する。
  2. 発症した場合、早期に十分な治療をしないと、1-3年以内に 変形が重度に進行しやすい。
  3. 同じ陽性でも、数値が高いほど病気の勢いが強い。エビデンス文献 #1 #2
  4. 抗CCP抗体陽性でもまったく無症状のかたや、ときどき軽い痛みが出るだけというかたもいるが、10年以内には高い確率で関節リウマチを発症する。
  5. 日本人健常者の抗CCP抗体陽性率 1.5~2% (人間ドックのデータより推定)

⇒抗CCP抗体が100以上のひとは、MTXだけでなく生物製剤が必要になることが多い。(80%以上の確率)

⇒一方、抗CCP抗体が100以下であれば、MTXだけで寛解できる率もかなりある。(およそ30-40%という印象)

⇒薬が効いて、リウマチが良くなると値も下がる。 抗CCP抗体(およびリウマチ因子)の数字を下げる効果は、MTXがもっとも大きい。一方、生物製剤では薬が効いても、それほどこの数字は下げない

リウマチの治療効果の判定に有用か?

抗CCP抗体は初期診断だけでなく、治療効果の判定にも有用です。

抗CCP抗体がリウマチの原因ですか?

抗CCP抗体は、ほかの検査値よりもリウマチの発症のおおもとの原因を表していることがわかっています。また、リウマチの遺伝子検査にもかなり近い検査だといえると思います。

ただし、抗CCP抗体はある年齢になるといままで正常だったものが陽性になることがわかっています。遺伝子はかえられませんが、MTXなどの治療で正常範囲に下がる例もあります。

たまたま検査で抗CCP抗体が陽性でしたが、現在は症状がありません。

この数字を下げることで、リウマチの発症を予防できませんか?

抗CCP抗体が陽性で、まったく無症状の患者さんに薬物治療をおこなうことはいままで本院でも行ってきませんでした。

しかし、他院ではまだ治療開始するのには早すぎるといわれた軽症の患者さんの多くにMTXを早期投与してきた結果がたいへんよかったため、これからは数字自体をターゲットにした治療もありうると考えています。

また、抗CCP抗体に関する基礎研究や疫学研究でもそういった考え方(pre RA状態からの発症予防)を肯定するような結果が多く出ています。

治療効果の判定に使えないのか?

病気が薬でよくなったときに、抗CCP抗体が下がったこともみなさん確認したいと思います。

使えます。ただ保険の制約があるため、たびたびは測定できません。

リウマチ診断後は、生物学的製剤変更判断目的の測定のみ認められています。比較的高価な検査なので1年に1回程度測定するのが妥当と考えています。

抗CCP抗体を調べたところ100以上と出たが、いったいいくつなのか?

多くの医療機関では、検査方法の違いにより100以上の高値のものは数字が測定不可能です。

自由が丘整形外科では100以上の場合でも、200なのか500なのか1000なのか実測が可能です。

なかには3000~4000といったかたもいらっしゃいます。やはり、そういうひとはリウマチの勢いも強いことが多いのです。

高値に出れば治療の気合の入れ方が違ってきますから、(つまり、はやめにMTX増量、生物製剤開始するということ)やはりいくつなのか知りたいですよね。

一度は実測値を調べておくことをおすすめしています。

関節リウマチ発症予防「抗CCP抗体陽性の関節炎患者では直ちにMTX投与の開始を」

診断未確定関節炎(UA)に対するMTXの有効性を検討したPROMPT試験で、抗CCP抗体陽性UA患者に対してMTXを早期投与することでリウマチ発症が有意に抑制された。

文献引用

関節リウマチの寛解は可能か―Fredinand C.Breedveld APLAR 2010

診断未確定関節炎(UA)は、関節炎の症状はみられるがRA(リウマチ)の診断基準は満たさず、ほかの関節炎とも診断されない病態であり、患者の約30%が1年後にRAと確定診断され、一部の患者で自然寛解することが知られている。UAに対するMTXの有効性を検討したPROMPT試験(van Dongen H et al.Arthritis Rheum 2007;56(5):1424-1432)では、抗CCP抗体陽性UA患者ではRA発症が有意に抑制され(p=0.0002)、X線所見の進行も有意に抑制されたが(p=0.03)、抗CCP陰性例では効果は認められず、抗CCP抗体の有無によって早期MTX投与の効果が異なることが示された。そのため、Breedveld先生は「抗CCP陽性のUA患者に対しては、経過観察ではなく、直ちに治療を開始し、RAへの進行を抑制することが重要である」と指摘した。

エビデンス文献

#1 Berglin E,Johansson T,Sundin U,et al:Radiological outcome in rheumatoid arthritis is predicted by presence of antibodiesagainst cyclic citrullinated peptide before and at disease onset,and by IgA-RF at disease onset.―

#2 Syverrsen SW,Gaarder PI,Gokk GL,et al:High anti-CCP levels and an algorithm of four variables predict radiographic progression in patients with rheumatoid arthritis: results from a 10-year longitudinal study―

Alessandri C,Bombardieri M,Papa N,et al:Decrease of anti-cyclic citrullinated peptide antibodies and rheumatoid factor following anti-TNFα therapy (infliximab) in rheumatoid arthritis is associated with clinical improvement―

Caramaschi P,Biasi D,Tonolli E,et al:Antibodies against cyclic citrullinated peptides in patients affected by rheumatoid arthritis before and after infliximab treatment―

De Rycke L,Verthlst X,Kruithof E,et al:Rheumatoid factor, but not anti-cyclic citrullinated peptide antibodies, is modulated by infliximab treatment in rheumatoid arthritis―

van Dongen H et al.Arthritis Rheum 2007;56(5): 1424-1432 Efficacy of Methotrexate Treatment in Patients With ProbableRheumatoid Arthritis

自由が丘整形外科 院長 天本 藤緒

^