変形性膝関節症 関節注射で膝の痛みが緩和
2種類の薬があります。
ヒアルロン酸
まず、普通整形外科でもっとも多用されているのは、
いわゆる潤滑剤というやつで、
ヒアルロン酸(アルツ・スベニールなどその他多くのジェネリック薬品の銘柄があります)が
薬剤名です。
自然の関節液の成分に近い物質で非常にヌルヌルしています。
美肌効果もあるため、シリンジのなかにあまった液を持ち帰って、
顔にぬりたくっている女医さんなどもいます。
ステロイド剤
ただし、水がたまって腫れている膝では炎症を伴っているので、
ヒアルロン酸単独ではあまり効果が期待できません。
その場合にはステロイド(代表的なものとしてケナコルトA=トリアムシノロンアセトニド)が
非常によく効きます。
ただし何度も繰り返すとかえって軟骨を痛めるおそれがあるので
最低3ヶ月以上の間隔をおく必要があります。また1年に計2回までとしています。
関節内にステロイド剤を注射することをよく思っていない先生も特に日本では多いのですが、
上記の3ヶ月、年2回というルールを守れば、軟骨や骨に害がなく効果の高いことが、
欧米の臨床比較試験で証明されており、むこうではスタンダードな治療になっています。
エビデンス―ARTHRITIS & RHEUMATISM Vol.48,No.2,2003 Jean-Pierre Raynauld,
Safety and Efficary of Long-Tern Intraarticular Steroid Injections in Osteoarthritis of the Knee
A Randomized,Double-Blind,Placebo-Controlled Trial
対して、日本では、
毎週ヒアルロン酸の注射を連続5回というのがスタンダードになっているようです。
注射をするほうは簡単ですが、
関節注射はされるほうにとってはすごく痛いし怖いものですから1回で痛みを
とってもらいたいと思うのは当然だと思います。
特に、注射による感染という恐ろしい合併症の危険性を考えればなおさらでしょう。
関節注射による合併症
関節注射のもっとも危険な合併症は感染です。
関節のなかというのは血流が少ないため、
たとえば心臓や腎臓などの臓器と比べても極度の無菌状態が保たれていると
同時に感染には非常に弱くなっています。
注射による感染は数千例に1回程度起こるとされています。
私が勤務医だったころ、年に1回は開業医さんの注射で感染し入院してくるケースがありました。
ずらりと、おばあさんを処置台にならべてちょいちょいと消毒して、
毎週次々に注射していくことが日本では通常のプラクティスです。
感染した患者さんたちも先生にあとで文句をいうなど非常にきまずいので
たいがい黙っています。
ですから、起こしてしまった先生も知らないでいることが多く反省につながりません。
米国では、関節注射による感染性関節炎は即、
医師の賠償責任訴訟になるため医師は数万ー数十万ドルを払わなければなりません。
ですから米国の医学部の授業では、
It's gonna cost you a fortune と厳しく教育されています。
感染の危険をできるだけ減らすために次のことに気をつけてください。
- 注射をすることがわかっている場合には前もって石鹸で皮膚のあかをよく落として清潔に保っておくこと。
- 注射をした日は風呂、シャワーを浴びてもけっこうですが、強くこすったりしないこと。
(なぜなら、感染は注射をした後の針穴から細菌がはいるのではなく、針をさすときに皮膚の上にいる細菌を針で関節内に押し込むことで発生することがわかっているからです。) - 注射をしたところが赤くなる、痛みがかえって強くなる、腫れる、熱が出るなどの症状が
あれば予約前でもすぐに受診してください。 - よく調べずに抗生剤を投与することは非常に危険です。
自由が丘整形外科で関節注射をする場合、
汗をかいている人や前日風呂に入っていない人の場合には、
まず、石鹸で皮膚のブラッシングをしてもらい、乾いたところでイソジンによる消毒をします。
また、イソジンは乾いてからしか滅菌効果を発揮しないので、
乾くまで数分間待ってから注射します。
注射するときは、必ず滅菌グローブを着用します。
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