関節リウマチとは?初期症状が大切な理由
関節リウマチは免疫の異常で関節が炎症を起こす病気です。炎症が強いと関節を破壊する可能性があります。特に血液検査で抗CCP抗体の陽性値が高いと、関節痛・早期関節炎を持つ患者の約80%以上が、数カ月~5年程度の経過で関節リウマチを発症するとされています。
そのため、関節リウマチは早期(発症から6か月〜1年以内)に適切な治療を始めるほど、関節の破壊を防ぎやすいという特徴があります。
リウマチ症状を早期に見つけるポイントは?
もっとも典型的なものは、朝のこわばり、関節の腫れ・痛みです。特に手の指の第2・第3関節、手首・足首、足の指の腫れがあれば、それも1カ所だけでなく2カ所以上あれば、関節リウマチの可能性がかなり高いといえます。
ただし、これらの典型的な所見以外にも、痛いところが移動する、しびれる、重だるい、 膝に水がたまるのを繰り返すなど、いろいろなタイプの症状の現れ方があるので、注意が必要です。
朝のこわばりに気づく
- 朝、指が曲げにくい
- 手がギシギシする
- 握りこみにくい
- ほぐれるまでに30分以上かかる
朝のこわばりが数分で回復するようであれば、関節リウマチの疑いは低く活動性の低い状態と考えられます。10分以上続くようであれば初期リウマチ、さらに長いと活動性の高い炎症が起きていると考えられます。
朝にこわばりが起きる要因としては、動きがなく関節の柔軟性が低い、就寝時に炎症性サイトカインが増加する、炎症を抑えるコルチゾールという物質の分泌低下するためなどが考えられています。
関節の“ぷっくり腫れ”を見る
- 指の付け根
- 第二関節
- 手首
- 足の指の付け根
関節の腫れを感じる。指で押さえたときに、熱感を感じたり、弾力性のある感触はありませんか?
日常動作の“やりづらさ”に注目
- 指ペットボトルのフタが開けにくい
- 歯ブラシが持ちにくい
- ハサミが使いづらい
- 物をつまみにくい
- 包丁を使うときに痛む
片方よりも両手に症状が出ることが多いです。
歩き始めの“足の指の痛み”
- 特に足の付け根が初期に痛む
- 靴を履いた時に違和感が出る
朝の一歩目で足の指の付け根が痛む。
軽い“微熱”や“倦怠感”が続く
- 37℃前後の微熱
- だるさ
- 疲れやすさ
- 食欲低下
リウマチは免疫の病気のため、関節症状が強くなくても全身症状が出ることがあります。風邪のような症状が続く場合は注意が必要です。
痛みや腫れが“左右対称”に出る
左右同じ関節に症状が出るのはリウマチの特徴です。
「長く続く」症状に注意
- 痛みが2週間以上続く
- 腫れが治ったり出たりを繰り返す
- 朝のこわばりが毎日ある
あなたの症状は当てはまる?初期症状チェックリスト
- 朝のこわばりが30分以上続く
- 関節が赤く腫れている
- 軽い痛みが2週間以上続いている
- 複数の関節が痛む
- 左右対称の関節に症状が出る
- 微熱・倦怠感が続く
- ぺットボトルが開けにくい・家事に支障が出てきた
また、必ずしも遺伝するわけではありませんが、ご家族にリウマチの方がいる場合や、リウマチの発症リスクを高める喫煙歴や歯周病をお持ちの方も、発症するリスクがあるため、注意が必要です。
リウマチ科を受診するタイミング
- 初期症状のチェックリストに1つでも該当する方
- 血液検査で抗CCP抗体・RF・CRPの異常を指摘された
「まだ我慢できる痛みだから」と放置しがちですが、関節を守るには早めの診断が最も有効です。
痛みが軽くても、専門医の診察で正確な評価が可能です。リウマチ科の専門医にご相談ください。
リウマチ専門医の評価
リウマチ科ではさらに詳しい血液検査、レントゲン撮影や関節超音波検査による画像診断、医師のよる関節評価を行います。
リウマチの超音波検査所見
左手関節の腫脹と痛みの症状あり。超音波検査の画像上、滑液貯留と滑膜肥厚あり、血流シグナルが増加している(活動性が高い)。
右手関節の画像と比較すると、左手関節の腫脹の原因がわかる。
指の関節も同様に、リウマチの活動性の評価ができます。
腱や腱鞘に炎症がないかエコー検査でチェックします。
こわばりの原因となるもので腱鞘肥厚があります。❝朝のこわばりは、関節滑膜炎よりも腱鞘滑膜炎とより強く関連することが明らかとなった❞というも報告されています。
腱鞘肥厚の原因には、関節リウマチ、それ以外の疾患や女性ホルモン低下によるものなどがありますが、エコー検査で評価は可能です。
厚生労働行政推進調査事業費補助金 難治性疾患等政策研究事業 (免疫アレルギー疾患等政策研究事業 (免疫アレルギー疾患政策研究分野)) 分担研究報告書 関節エコーによる朝のこわばり評価の臨床的意義の検討 池田 啓 千葉大学医学部附属病院 アレルギー・膠原病内科 助教 https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2016/162052/201611004A_upload/201611004A0010.pdf
リウマチに似た関節症状
典型的な初期症状に似た特に中高年期の女性の場合、女性ホルモンの関係などで同じような症状を訴える方も大勢います。その中で本当のリウマチに進行するのは、ごく一部ですからあまり心配する必要はありません。
リウマチの発症や進行を予防する方法はあるのか?
病気の重症度は個人差が非常に大きく、いくつかの関節だけで終わるごく軽症な方が大部分です。
また、治療しなくても自然に治まってしまうケースもよくあります。
遺伝子などの影響が大きいので予防とまではいきませんが、以下のようなことが発症のきっかけや症状の悪化に影響すると考えられています。
- 十分な睡眠をとること。(8時間以上)
- ストレスをなくすこと。
特に、家族、人間関係、仕事のストレス、働きすぎ、頑張りすぎなどがリウマチを発症、悪化させます。思いあたることはありませんか?
- おいしいものを食べること。(リウマチと食事について)
体の中に良いものをいれることが、基本になります。良いもの=おいしいもの=新鮮な野菜、里いも、豆類、レンコン、山芋などの根菜類、フルーツ、ヨーグルトや魚介類などを十分とること。
食べ物にはお金をかけるように。
一方、できるだけ避けてほしいのは、加工食品・添加物の多い食品・お菓子やカロリーゼロなどと謳ったダイエット食品、揚げ物の作り置きの食品、何が入っているのかわからないようなサプリメント類全般などです。
- よく笑うこと。生活を楽しむこと 。
カラオケ、ダンス、運動、好きな趣味、友達との社交などリラックスできることなら何でも。
- 口腔内を清潔に
口腔内を含む腸内細菌がリウマチの発症原因になっている説が有力なので、口腔内を清潔に保ちましょう。歯垢をへらすことが重要なので毎食後と寝る前のデンタルフロスの使用を強く推奨します。同じ理由で、胃のピロリ菌の検査をしていない方は検査をしてみてください。
陽性の場合、必ず除菌しましょう。(歯周病が発症原因にも)
- 喫煙はリウマチの発症率を上げます。
家族で吸う人がいれば止めてもらいましょう。(リウマチと喫煙について)
リウマチ発症予防に
関わる食物
以下の食べ物が炎症性サイトカインの低下や関節のこわばりや痛みの軽減、酸化ストレスの低下など、さまざまな有益な効果をもたらすと報告されています。
KHANNA, S., JAISWAL, K.S., AND GUPTA, B. FRONT. NUTR. | DOI: 10.3389/FNUT.2017.00052:THIS IS A LIST OF FOODS AND THEIR POSSIBLE EFFECTS ON RHEUMATOID ARTHRITIS SYMPTOMS AND PROGRESSION.
Study lists foods for fighting rheumatoid arthritis symptoms and progression. https://www.sciencedaily.com/releases/2017/11/171108092351.htm
くだもの
- ドライプラム
- グレープフルーツ
- ぶどう
- ブルーベリー
- ザクロ
- マンゴー
- バナナ
- 桃
- リンゴ
炎症性サイトカイン値、酸化ストレスを減らし、骨および関節の破壊から保護します
全粒穀物とシリアル
- 小麦
- 米
- オーツ麦
- ライ麦
- 大麦
- ミレー
- ソルガム
- カナリアシード
炎症を軽減
オイル
- オリーブオイル
- 魚油
- ルリヂサ種子油(カプセル剤)
関節の圧痛、硬直、痛みを軽減
乳製品
- ヨーグルト
炎症性サイトカイン値、酸化ストレス、関節の圧痛および腫れを軽減
マメ科植物
- 黒大豆
- 黒緑豆(もやし豆)
酸化ストレスを軽減
ハーブ
- ボスウェリア・セラータ
- アシュワガンダ
炎症性サイトカイン値、コラーゲン破壊、関節のこわばりおよび痛みを軽減
スパイス
- ジンジャー
- ターメリック
関節外の合併症から保護する 炎症を軽減
お茶
- 緑茶
- バジルティー(トゥルシーティー)
炎症性サイトカイン軽減 骨と軟骨の破壊を防ぐ
